雲仙・普賢岳周辺のトイレ事情を視察

実施日:2023年10月23日

投稿者:管理者

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 春のミヤマキリシマ、秋の紅葉、冬の霧氷で登山愛好家や観光客に親しまれる長崎県の雲仙・普賢岳周辺のトイレ事情を視察しようと、協議会は2023年10月22日(日)にバスハイクをしました。協議会から14人が参加。現地で長崎県勤労者山岳連盟の川原一之会長ら、熊本市のアウトドア・登山専門店「シェルパ」の阿南大吉社長と合流しました。
 環境省九州地方環境事務所雲仙自然保護官事務所の堀松隆久・国立公園利用企画官の案内で仁田峠から妙見岳、普賢岳を巡る登山班と、雲仙地獄の散策班に分かれました。溶岩ドームがむき出しの平成新山を間近に見ながら普賢岳を目指した登山班は、携帯トイレブースの設置が構想されている紅葉茶屋を視察しました。

 下山後は散策班と合流し、懇談会を開催。堀松さんは雲仙のトイレの現状や携帯トイレブースの設置構想について説明しました。川原会長は「山のトイレ問題を長崎県連内部でも意識を持って検討していきたい」。福岡・想山会の石田良一会長は「山のトイレは究極的には携帯トイレブースが主流になるのではないか。ブースの清掃や携帯トイレの回収を含めて登山者のマナー向上を周知していかないといけない」との意見を述べました。協議会からは運営委員の磯野文雄さんと平田眞介さんが携帯トイレの使い方を解説しました。

堀松さんの説明

 雲仙・普賢岳周辺では、ロープウェイの妙見岳駅に古いトイレがあります。しかし登山は6時間コースもあり、登山道の途中にもトイレを設置してほしいという声があります。登山道の途中で岩の裏や木陰に入って用を足すためのトイレ道もできています。これは何とかしないといけない。住民や登山愛好家の声が集まれば、行政は動かざるを得ません。私は、登山者の多くが通る紅葉茶屋に携帯トイレブースを造れないだろうかと考えています。

 山のトイレはただ造ればいいというものではありません。メンテナンスをどうするか、トイレ設置を求める人たちも「後は知らない」では済みません。清掃などの仕組みを地域や登山愛好家で構築した上で要望しないと行政は動きません。普賢岳に登っている人たちがどう考えるのか。そこから声を上げていく必要があります。メンテナンスはボランティアではなく「仕事」にしないといけません。定期的にトイレを清掃し、汚物を処理するには、入山料を徴収して、その何割かを当てる方法もあります。山の環境を守るという熱意でけでは続かないのではないか。携帯トイレブースを造るなら、継続する仕組みが求められます。

「トイレ協議会通信 第27号」より