開催日 | 2019年7月7日(日) |
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会場 | 福岡市立早良市民センター 3F 第1会議室 福岡市早良区百道2-2-1 |
来場者数 | 20名 |
講演 | 横山 秀司氏(九州産業大学名誉教授・日本山岳会北九州支部会員) 「久住のジオツーリストマップと自然保護」 |
「平成31年度 山のトイレ・環境を考える福岡協議会 第11回定期総会及び講演会」が、令和元年7月7日(日)14時より福岡市立早良市民センターで開催されました。
議長に山上司氏が選出され、活動報告・令和2年度活動計画・令和2年度会計予算・会計監査報告・運営委員会開催報告があり、これらについて質疑応答の後、役員改正がなされ、議案は全て出席者全員の了承を得て成立しました。
なお参加者は個人14名、4団体5名、他2名、これに講師を加えた計20名でした。
【質疑応答】
■議案について
Q:くじゅう山域の自然環境についての取り組みについて
A:法華院山荘の弘蔵さんや日本山岳会東九州支部の加藤支部長と、久住分かれのトイレ問題について協議を進めています。
Q:当会のホームページ立ち上げについて。
A:秋には立ち上げたいと考えています。皆さんの意見が反映するよう更新していきますのでよろしくお願いします。
Q:往還倶楽部の会員として、脊振の野河内渓谷の整備活動を行っています。脊振を守る会との連携も考えています。当会の趣旨に賛同して頂ける団体になると考えてよいですか?
A:各団体との連携は運営委員会で検討します。脊振山系の自然保護には、自主団体や行政系団体が関わっています。特定の団体との連携については個々に賛否があると思われるので、バランスを見て進めて行きます。
Q:久住分かれのトイレ問題について、大分県の行政等に要望書を提出するなど、まず行動が必要と思います。
A:おっしゃるとおりです。ですが他県であることを鑑み、地元の関係者と調整を図ってから行動を起こしたいと思います。
Q:聞いた話では、久住分かれのトイレを利用している人の7割が福岡県人ということで、まず福岡は要望書を出し、引き続いて大分も出してくれという感じで福岡県がけん引して活動を進めると良いと思いますまので、意見として述べておきます。
Q:山の日の決定の経緯を知りたい。
A:日本山岳会で、海の日があるから山の日をということで呼びかけ、8/11になったと聞いています。
Q:山のトイレ問題については、全国民が知っていた方が良いと思うが?
A:来意の通りです。我々も山の日の制定を機に、夏山フェスタに毎年参加し、今回はセミナーという形で、山のトイレ問題を扱わせてもらいました。
Q:例年山のトイレマナーなどのチラシを入れてマナー袋を一般登山者に配っていましたが、今年は中止した。マナー袋を作っていたメーカーの製造中止をうけてとのことだが、代わりの広報を何か考えているか?
A:マナー袋を製造していたムッシュというメーカー在庫が切れ、また事業を廃止し担当者がいなくなった。別注すると45万円かかるということで、配布活動ができなくなった。今後については、まずはホームページからはじめて、一般参加者に広報活動を行っていきます。
「トイレ協議会通信 第23号」より
九州産業大学名誉教授 横山秀司氏の講演が行われまた。氏は近年ジオツーリストマップ普及の活動を行われています。
■ブラタモリ的!久住山登山と登山道保護
氏の推進する「ジオツーリストマップ」とは、地質・地形的に貴重な「大地の遺産」ともいえる「ジオパーク」の見所をつめこんだ地図です。これを頒布・広報し、また地図に沿った「ジオツーリズム」を普及させ、研究・教師久・普及に活用することで、地域の持続可能な発展に貢献していこうという活動です。
近年NHKのTV番組「ブラタモリ」が、日本各地を新たな切り口で紹介し、人気を博しているように、登山にあらたな喜びを見出すことができます。同時に、この大地の遺産の環境をいつまでも保つために登山道の保護も訴えます。
■海外ですすむジオツーリストマップ整備
ジオツーリストをジオサイトにみちびき、その地形や地質を理解させるための「ジオツーリストマップ」は、海外ではすでに普及と推進が図られています。地質図や地形図をベースとして、ジオサイトの所在地や解説、観光施設(観光案内所、トイレ、宿泊施設)を示したものです。
■山、岩、風景 いつもの登山に新風を!
氏が製作した「久住火山のジオツーリストマップ」。一見ちょっと難しい感じですが、これを見ながらジオサイトをめぐることで、いつもの登山が「ブラタモリ的」になってしまうカラクリが、これでもかと練りこまれています。今回の講演では、要所要所を写真を交え、その風景の意味を解説してくださいました。例えば、沓掛山の山頂にあるのは大きな溶岩で、そこから見える三俣山の地形の成り立ちなど、そこに岩があり山が見える意味、すなわちジオサイトの魅力!知っていると誰かに話したくなる「大地の遺産の知識」が満載です。
■この景色を遺産として…
横山氏の活動は、ジオツーリズムの普及とともに登山道の保護にも及びます。くじゅう登山は、ご存じの通り「やまなみハイウェイ」開通を境に劇的な変化をしました。ですが、同時に登山者が多すぎるゆえの環境の荒廃も課題となってきています。講演では、登山道の幅が広がり植生が破壊された様子が示されました。山のトイレ問題も含め、環境問題に取り組む意義を実感させられる内容でした。
「トイレ協議会通信 第23号」より