設立総会

開催日 2008年6月22日(日)
会場 太宰府館「まほろばホール」
太宰府市宰府3-2-3
来場者数 95名
講演 永田京子氏(岩手県自然保護団体協議会代表)
「早池峰山のゴミ、トイレ問題16年間の取組とこれからの活動」

議事の概略

 13:00福岡県山岳連盟の貞刈氏の司会により、竈門神社禰宜の松大路氏の開会挨拶で始まりました。今回は来賓として、山岳トイレについて環境実証モデル検討会を立ち上げ、自治体等に対する「山岳トイレ整備補助事業」を行うなど、山のトイレ問題に対しても強い関心を持っている環境省の九州地方環境事務所福岡事務所の川野所長をはじめ、30年間続けている「ふるさとの山・県民清掃ハイク」など自然保護活動が高く評価され、環境省から表彰された「福岡県勤労者山岳連盟」の荒木会長、「九州の原生林をまもる福岡の会」の深野会長にご挨拶をいただきました。

このあと、平田・福岡県勤労者山岳連盟理事長を議長に、松大路氏からの協議会規約、会長、運営委員長の選任、また構成する9団体からの役員(運営委員)について説明と紹介がされた。

会場からは、宝満山にバイオトイレが作られることになったことと当協議会結成との因果関係に対する質問や、決議の際の個人、団体の票の取り扱い方など厳しい質問もあり、今後に課題を残しました。

続いて、西鉄山友会の伊藤会長から、宝満山のバイオトイレへの改修に至る経緯、バイオトイレシステム、今後の作業スケジュール等について報告、説明があり、西日本鉄道(株)による着工には、同社の創立100周年記念事業の一環であったとしても、昨年、当協議会の前身である「山のトイレを考える福岡の会」が開催した「山のトイレを考えるフォーラムin福岡2007」などの社会的背景もその後押しに大いに貢献したと、当協議会の地道な活動を評価していただきました。

メインの活動方針、予算案は運営委員長として承認された九州登山情報センター理事の太田氏から説明があり、承認され、14:10閉会しました。


「トイレ協議会通信 第1号」より

講演内容

 永田さんは、1988(昭和63)年、『和賀川水系の自然を考える会』を結成以来、様々な自然保護活動に力を注いでこられました。

中でも、珍しい高山の花の宝庫として全国的に知名度の高い早池峰山での自然保護活動、特にトイレ問題の解決に努力されています。

きっかけは、所属する『花巻山友会』の人たちが、昭和61年に山頂に設置されている地下浸透式の古いトイレの糞尿の処理の実態を知ったことからでした。

早池峰山は蛇紋岩で構成されており、植物の生育を妨げる金属成分を含むため、花々はこの厳しい条件に適応するように変化してきたのです。

「地下浸透式」は、このように厳しい貧栄養のところで生きる高山植物にとっても、また下流の沢水の汚染についても影響が懸念されることから、会のメンバーは「それなら、俺らで担ぎ下ろすべ!」と、8年もの間、登山口のトイレまで担ぎ下ろしを続けてきておられます。ただ、トイレは古く、暗く、おまけにクサく、県に改善を要請していたそうです。平成10年、突然、県はTSS方式とかいうトイレへの改修を発表したそうで、いろいろ疑問点を投げかけたところ、問題も多いとして当面凍結する代わりに、今後10年間、汲み取り、担ぎ下ろしと共に、携帯トイレの普及活動をやって欲しいとのことでした。「早池峰山にゴミは似合わない実行委員会」、岩手県労山。早池峰山フォーラム🈑付こう委員会の三者で同意し、今日ので来てるとのことです。最近は県が一般の人を「グリーンボランティア」として登録し、保険を付けるなど前向きな姿勢を示し、何かとやり易くなったとのことです。携帯トイレの普及活動も、マナーガイドを配ったり、シャトルバス発着所で販売したり、使い方を指導したりと幅広く活動していることや、日曜日に担ぎ下ろしをやり、見せるってこともインパクトを与えているのか。山頂トイレの清掃についても、清掃回数、回収量が激減しており、やっと「早池峰山は携帯トイレで用を足す山」って認識が高まってきたと感じているそうです。

ただ、最終的には、山に残した「おしっこやウンチ」は、他人が担ぎ下ろすという人まかせは決して良いことではなく、山にとっては最大のゴミであり、自分が出した物は持ち帰ってもらいたい!というのが願いでありますが、その前に是非とも登山口ではませておくことをお願いしたとのことでした。


「トイレ協議会通信 第1号」より