尾登憲治氏制作ビデオ「山のトイレを何とかしたい!」上映

実施日:2017年7月9日

投稿者:管理者

このビデオは、6月3日の我が会の「第3回 久住分かれトイレ視察山行」の様子から始まり、昨年10月27日の「第1回 久住分かれトイレ視察山行」の様子や、貞苅誠運営委員長の福岡県人が大分県にある久住分かれトイレ視察山行を行う想いや、福智山や宝満山のバイオトイレの建設当時の話などにも触れ、久住分かれトイレの問題を取り上げています。 【概要・ビデオの中で語られていること】 1.バイオトイレが機能する3条件

 バイオトイレは臭いがない、清潔だということですが、これを引き出すために必要なバイオトイレが機能する3条件(人間の排泄物が完全に分解される理想的な状態)があります。

 ⅰ)温度 処理層の温度が人間の体温と同じ程度であること

 ⅱ)バイオ菌は好気性バクテリアであるから、空気が上手に攪拌され、混入されること

 ⅲ)湿度 人間の尿と匹敵する水があり、湿度が80%~90%に保たれること

2.久住分かれトイレについて

 久住分かれトイレは、平成16年に大分県が設置し、竹田市が管理しています。一見すると普通の水洗トイレに見えますが、水を流した後の汚水をバイオ処理しています。流す水は雨水をタンクにためていて、電源は太陽光発電です。汚水はトイレの横にある土壌層で処理していますが、一部は土壌の中に浸透しています。また、水を溜めるタンクが小さいので、十分な雨が降れば問題ないが、夏場に雨が降らない、人が多いとなると、タンクの水が足りなくなり、水が流れないという苦情が出てくるというのが実態です。  もっとも重要な点は、九重の場合、大敵は冬の気温で、冬場は水が凍ってしまいトイレが使えないため、トイレが閉鎖されることです。

3.バイオトイレは万能ではない  ➀貞苅誠(当会運営委員長)氏の意見

 久住分かれでは冬の気温が低く、バイオ菌が働かないため、12月から3月までトイレは閉鎖されてしまう。この問題は解決できないだろう。その間どうしたら良いか?バイオトイレにも限界があり、すべてを解決できるわけではない。その山ごとに条件が違うので、どういうあり方が良いのか、山ごとに考えていかなければならない。地元の人を交えて、協議して考えていきたい。

 ➁弘蔵岳久(法華院温泉院主)氏の意見

 百名山を中心に、全国的にはだんだん携帯トイレとかの方式もでている。選択肢としていくつか出てくると思う。九重は、その取り組みとしては遅くなってしまった。一番最後だから一番良いものを考えて進めていきたい。

 ➂尾登憲治氏の意見

 九重の場合、大敵は冬の気温。久住分かれトイレは評判が芳しくない。バイオトイレは万能ではない。どういう形がベストかみんなで考えなければならない問題です。

【ビデオ上映後の尾登憲治氏のコメント】 久住分かれのバイオトイレは12年前に大分県が設置したが、調べれば調べるほど本当にひどい。冬に水が凍るのはあたりまえ。なんであんな所に簡易流下式の水洗トイレを作ったのか? 何とかしてもらいたい。 山のトイレ問題は面白い。百名山とか世界遺産とかに出てくるが、トイレの問題は大きな問題になっています。富士山は世界遺産になっているが、山自体がなっているのではなく、それはトイレ問題があるからです。 バイオトイレは年々進化しているが、バイオトイレは万能ではないということが、今では常識になっています。 久住分かれのトイレはどうするんだ。あと何年かかるかわからないが、携帯トイレの方向に行かざるを得ないのかな。山の中にああいうトイレがあっていいのかということも含めて議論た方が良い。 山のトイレ協議会があって、福岡が九州の中では進んでいる。屋久島とか霧島とかにバイオトイレがありますが、弘蔵さんもインタビューの中で言っていましたけど、九州全体は日本全体の中では一番遅れています。(大分)県としても、「バイオ、パイオ」ではなく、撤去し、もう一回議論すべきかな? 竹田市にある久住分かれのトイレも失敗だが、同じ大分県の祖母山にあるトイレはとんでもないもので、大失敗で、どうするんだ。あれもバイオなんですけど。 「山のトイレ・環境を考える福岡協議会」は、九州の中でリーダーシップをとって、九重まで越境して議論しているが、大分県でもこうした議論を巻き起こして、同じような大分協議会を作らなければと思っています。トイレはどうした形が良いのか、携帯トイレに移行するにはどういう形が良いのか。今から5~6年はかかりますかね。一回、大きな議論を巻き起こしていきたい。 このCDはレプリカですけど、質問とかありませんかね。これに屋久島とか霧島とかの実情を取材し、加えたい。 バイオトイレの時代ではない。携帯トイレに移行する。この前、傾山の山開きに行ったとき、困っていた。困っている場合ではない。社会の常識が高まっている。携帯トイレの使い方、携帯トイレの回収システムとか行政との連携とか、この辺りが必要かな。これらの問題はいろんな面、方面から議論を巻き起こしたいと思っています。 福岡が九州の中では一番リーダーシップを取っていかんかなと思うので、よろしくお願いします。

「トイレ協議会通信 第19号」より